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さい帯血のアセトアミノフェン量が多いほど、胎児のADHDおよびASDの発症リスクが高まる | JAMA Psychiatry

【要約】出産後のさい帯血中に含まれるアセトアミノフェンカロナールなど)およびその代謝物量が多い妊婦ほど、それらが少ない妊婦に比べて、ADHDおよび自閉症スペクトラム症の胎児を出産しやすいことが分かった。

 

・原著論文https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2753512

・米国立衛生研究所ニュースリリース

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-funded-study-suggests-acetaminophen-exposure-pregnancy-linked-higher-risk-adhd-autism

・ニュース記事https://www.medpagetoday.com/obgyn/pregnancy/83040

 

・シャオビン・ワン医学博士らの、ジョンズホプキンズ大学などの共同研究チームが米国立衛生研究所と米国健康福祉省の援助によって行っていた研究で、妊娠中にアセトアミノフェンカロナールなど)を服用していた量が多い妊婦は、服用していた量が少ない妊婦に比べて、ADHDおよび自閉症スペクトラム症の胎児を出産しやすい可能性があることが分かった。JAMA Psychiatry誌に発表した。

・注意欠陥/多動性障害(ADHD)は多動性、および衝動的な行動を中心症状としている。これは反抗的な行動ではなく、挑戦でも敵意の現れでもなく、課題や指示を理解できないために行っているわけでもない。

自閉症スペクトラム障害ASD)は広範な発達の障害で、主に社会的コミニュケーションの障害および対人相互反応の欠陥(人とのやりとり、興味や関心の共有の少なさ、想像力の少なさ、アイコンタクトや身振りの悪さ、人間関係の維持や発展の困難さ)、反復された行動、限定されたこだわり(特定のやり方、独特の習慣・興味・手順や方法以外は行わない)を中心症状としている。

・研究者らは20年に渡って行われたボストンバースコホート研究によってデータを分析し、患者の臍帯血に含まれるアセトアミノフェンとその2つの代謝物と、ADHDおよびASDの相関を調べた。

・ 最終的なサンプルは996名の小児患者( 9.8 ±3.9歳 、男性548人 [55.0%])が含まれており、そのうちADHDが257(25.8%)が含まれており、そのうちASDが66人 (6.6%)、ADHDASDの両方ともが42人 (4.2%)、304人(30.5%)が他の発達障害、327人(32.8%)が定型発達者であった。

アセトアミノフェン及びその代謝物の量は、発達障害群と定型発達群において、血中濃度においては統計的に有意な差は認められなかったが、オッズ比で見てみると二分位数(統計的に中央から2番目に来る値)と三分位数(統計的に中央から3番目に来る値)が高いことがわかった。(ADHD診断群二分位数オッズ比 [OR] :2.26、95%信頼区間, 1.40-3.69、同三分位数オッズ比, 2.86; 95%信頼区間、1.77-4.67。 ASD診断群二分位数オッズ比 :2.14、95%信頼区間, 0.93-5.13、同三分位数オッズ比3.62、95%信頼区間, 1.62-8.60)。

・さまざまな疫学研究が行われており、アセトアミノフェン発達障害だけでなく、物質依存や物質使用障害、周産期の影響、子どもの年令、子どもの性別、妊娠年令も関与していることが分かっている

ADHDではオッズ比はアセトアミノフェンを服用している量が多いほど2.3~3.5と高くなり、ASDでは1.6~4.1と高くなった。

・最もアセトアミノフェン摂取量の少ない群に比べて、2番目に摂取量が多い群は2.26倍ADHDに罹患するリスクが高くなり、3番目に摂取量が多い群は2.86倍罹患するリスクが高くなることが分かった。

・同様に、最もアセトアミノフェンの摂取量が少ない群に比べて、2番目に摂取量が多い群は2.14倍ASDに罹患するリスクが高くなり、3番目に摂取量が多い群は3.62倍罹患するリスクが高くなることが分かった 。

・研究者は早急に母体内でアセトアミノフェンに晒された場合における児の発達についての研究が必要だとしている。

・米国食品医薬品局では妊娠中の鎮痛剤の使用についての注意を促している。

 

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